2011/04/22

ASKが招いた講師たちから

クラウディア・ブラック(米国ワシントン州)
親愛なる日本の友人たちへ
心からの祈りと思いを送ります。
危機に直面すると、人は、自分にあるとは思わなかった力を発見します。
さまざまな立場で、依存症という病と闘ってきたあなたがたは強いのです。
なぜなら、あなたがたは、自分にはどうにもならないものを手放すことを知っている。
一歩一歩、歩むことの意味を知っている。
仲間を信頼してつながること、「今」に集中することの大切さを知っている。
そして、アルコールや薬を使って得られるものは何もないことを知っています。
今こそあなた自身の回復に感謝する時です。かつてないほどに今、それが必要なのです。
愛をこめて。 

被災地の援助者、ボランティアの方々へ
どうぞ忘れないでください。あなたが今、援助している人と同じく、あなたは大切な存在であることを。
あなた自身のために、仲間や友人にそばに来てもらい、心を傾けて話を聴いてもらいましょう。
長期の援助をするには、あなた自身が健康でいなければなりません。
できるかぎり自分のペースを保ちましょう。
そして、どうぞ受け入れてください。あなたは一人の人間にすぎず、限界があることを。
あなたにできることだけをやれば、それで十分なのです。
あなたの働きに感謝しています。心から。
(ソーシャルワーカー・社会心理学博士)

スコット・ジョンソン(米国カリフォルニア州)
あなたはひとりじゃありません! たくさんの仲間が応援しています。
あなたのために毎日祈っています。ハイヤーパワーに助けを求めましょう。ハイヤーパワーは私たちを決して見捨てません。たとえ、私たちがハイヤーパワーを見捨てたとしても。
幾度もの苦しい時を乗り越えて、私は33年のソーバー(しらふの生活)を続けています。だから、あなたにもできます!
ひどいことがおきたら、シンプルなスローガンを唱えましょう。
「今日一日」
「今一分」
すべての問題を一日で解決しようなんて思っちゃだめです。

恐れや恨みや、自己中心的な自分を感じたら、抜き打ちのたな卸をしてみましょう。
うまく行かないことが続いたら、仲間に話しを聴いてもらいましょう。
一番効くのは、他者への奉仕です。そうすることで、平安と安心、人の役に立っているという感覚をもつことができます。
自分の問題をハイヤーパワーの手に委ねると、奇跡が起きます。
私たちの営みのすべてにおいてハイヤーパワーを信じること。そうすることで計り知れないお返しを受け取ることができます。災禍はハイヤーパワーがもたらすチャンスです。

災害に立ち向かうのは、プロセスなのだと覚えていてください。
まず「気づく」こと、次に「受け入れる」こと、次に「行動」すること。
私は「気づく」やいなや「行動」に移して、痛い目に遭ったことが幾度もあります。
「行動」する前に、スローダウンして物事を「受け入れる」ことができたら、あなたにとっても周囲の人々にとっても、よりよい結果がもたらされるでしょう。
最後に。この苦しい時はいつか過ぎていきます。永遠にこのままということはありません。
なにがあってもソーバーを続けていれば、あなたは人生に勝利します。
愛を込めて。

(アディクション・カウンセラー、ソーシャルワーカー)

ジェリー・モウ(米国カリフォルニア州)
毎日あなた方のことを思い、祈っています。
あなたたちは一人ではないことを、どうぞ覚えていてください。
信じる人々とつながって、サポートと導きを得ましょう。
困難でストレスフルな時は、ミーティングに多めに参加しましょう。
定期的に奉仕活動に参加しましょう。
「今日一日」で過ごし、よりいっそう自分を大切にしましょう。セルフケアの実践です。
あなたが愛する人々に、愛しているということを、日々伝えましょう。
(ベティ・フォード・センター子どもプログラム責任者)

デビッド・ロモ(米国アリゾナ州)
東日本大震災でお亡くなりになった方、ご家族を失い深い悲しみの中にいる方々に、心からのお悔やみを申しあげます。
未曾有の大地震、津波、そして原発事故……いま日本が経験しているような状況は、世界的に見ても非常に稀有です。このとてつもなく大きなダメージから、日本の人々がどう立ちなおっていくか、世界中が注目し応援しています。
世界は日本から学ぶことがたくさんあります。今回得られる教訓は、将来ほかの国々が支援を必要とすることになった場合、きわめて貴重なものとなるにちがいありません。 

さまざまな事件や災害を経験しながら、国際社会は、心の傷について、トラウマが長く残ってしまうことを避けるための心理的介入の重要性について多くを学んできました。
このたびのように多数の人がトラウマを負う出来事が起きた場合に、人々の感じ方、考え方、行動にどのような影響が出るのか――日本のみなさんは理解しておく必要があります。

瓦礫を片づけるといった活動や、その結果として町の復興が進むことによって、人々の気持ちはある程度楽になっていきます。けれど、心の傷を癒すには長い長い時間がかかる場合があります。
避難所で生活する大勢の方々が、最低限必要なもの(衣食住)を確保できたあとで、心理的な介入が必要になってくるだろうと思います。とくに、サバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)への注意がいります。大人にとっても子どもにとっても、それぞれの苦しい体験に意味を見出していくような援助が必要です。
 
阪神淡路大震災の折、私は日本を訪れ、援助者のためのワークショップを大阪で行ないました。そのときに神戸の被災地を歩き、被災者の方々と語りあい、日本人に特有の葛藤があることも知りました。
日本のみなさんとのやりとりと私自身の経験を記した『災害と心のケア』が、いま、少しでもみなさんの役に立てるよう願っています。

いま、日本には時間が何より大切です。
嘆き悲しむ時間。自分を癒す時間。復興するための時間。

そして日本のもつ最大の強みを再発見し、取り戻し、実行してみせる時間です。
日本は過去にも天災や人災から復興を遂げてきました。
 みなさんの力を、私は心から信じています。
(精神科看護師・元ロサンゼルス郡精神保健局精神科救急チーム所属・アメリカ赤十字社災害ボランティア)

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